Opticks 121, 2018

Opticks 106, 2018

Opticks 228, 2018

Opticks 008, 2018

Opticks

 

 

ニュートンによるプリズム実験の再現を始めてから今年で15年になる。毎年冬になると日の出の位置がプリズムの正面に近づいてくる。冬の冷気を通過してくる光は分光され、薄闇の観測室に導かれ、白漆喰の壁に拡大されて投影される。私はその色の階調の奥深さに圧倒される。光の粒子が見えるような気さえするのだ。そしてその一粒一粒の粒子が微妙に違う色を映している。赤から黄、黄から緑、そして緑から青へと無限の階調を含んで刻々と変化していく。私は色に包まれる。特に色が闇に溶け込む時、その階調は神秘へと溶け込んでいくようだ。

私はポラロイドの小さな画面の中にもその微細な粒子が閉じ込められているであろうことに気がついた。数年にわたる実験の結果、私自身が色の中に溶け込むことができるような十分な大きさを持った色画を作ることに成功した。私は光を絵の具として使った新しい絵(ペインティング)を描くことができたように思える。

- 杉本博司


 

 

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